鱧の真価
鱧の真価
鱧という魚は、骨切りの魚だと思われています。
細かく包丁を入れ、小骨を断ち切る。
京料理の技として名高いその技法は、
たしかに鱧を美味しくいただくための知恵です。
けれど、骨切りにはひとつの制約があります。
骨を切るために、
身を薄く引かねばならないということです。
薄く引かれた鱧は、上品です。
けれど、鱧本来の旨みは、
その薄さゆえに、本来の味を失っている面も
あります。
当店では、骨切りではなく、
骨を一本一本抜く、
そんな仕立てをすることがあります。
手間は骨切りの比ではありません。
けれど、骨さえなければ、
鱧は厚く引くことができます。
厚く引いた鱧は、
骨切りの鱧とはまったく違う表情に出会います。
身の奥からあふれる脂と旨み、
しゃぶりとした食感
——薄造りでは決して味わえない、
鱧という魚の「肉」としての存在感です。
骨切りが鱧を上品に見せる技だとすれば、
骨抜きは鱧の正体を見せる仕事だと。
この夏、骨抜き鱧のしゃぶしゃぶを
ご用意いたします。
一枚の厚みに、
手間と時間を惜しまなかった証をご覧ください。
